Synteny-Blog

ウェブサイトSyntenyのブログ。日常のことや興味のあることを綴っています。

大人の社会見学レポート

10月はじめにヤマトグループさんの物流センター「関西ゲートウェイ」を見学してきました。

 

はじめに


「DEATH STRANDING」ですっかり配達依存症(兼、配送放棄の落とし物拾い依存症)となった自分。
ゲームの中では「配達人」の「サム」が分断された世界の人々に荷物を届け、ある時は頼まれごとをこなしながら繋いでいきます。託された荷物の詳細を見れば、どれも依頼者の思いがこもった大切なものであることが分かります。
現実世界でも「物流」は世界を繋ぐ大切なものです。
そんな「物流の要」となる配送センターの中ですが、残念ながら配達スタッフであるサムでもゲーム中では中を見ることはできません。ガラス張りだけどコンテナしか見えない!!!

そんな中、ヤマトグループさん、コジマプロダクションさんのコラボレーション(「ヤマトとコジプロ」キャンペーン)のTwitter広報で、どうやら本物の物流ターミナルの見学ができるらしいことを知る。

www.yamato-hd.co.jp


関西にもあるということで早速見学に行くことに決めました。

 

以下、見学内容のネタバレも含みますので注意。

 

 予約から訪問まで


物流ターミナル見学コースは東京の「羽田クロノゲート」大阪の「関西ゲートウェイの2か所があります。
今回は関西ゲートウェイへ伺いました。
見学は事前予約が必要です。詳しくはウェブページを参照。

f:id:chromista:20201023001458j:plain

JR茨木駅

関西ゲートウェイはJR茨木駅から歩いて20分弱。バスもありますが受付時間の関係もあり、本数も少ないため歩いて行ったほうがいいかもしれません。道も平坦なので町の雰囲気を味わいつつ散歩もおすすめです。途中にコンビニもいくつかあります。

このエリアは近くに茨木ICがあるため、流通関連の施設が集まっています。生涯学習センターや図書館といった公共施設もある静かな場所でした。

www.yamato-hd.co.jp

 

いよいよ中へ

f:id:chromista:20201023012230j:plain

入口

f:id:chromista:20201023012312j:plain

背後にはとても大きな建物!


敷地内にはトラック群と沢山のシャッター。早速圧倒される。遠くから見てもかなり大きいことが分かります。
案内スタッフの方に迎えていただき、身分証明書を提示して見学者カードを服に付けたら準備完了。
今回の時間帯の見学者は自分ひとりでした。
※後述の通り、お子さんでも十分に楽しめる内容なので親子でもいいし、家族や友人と行くのもオススメ。というか誰か誘って行けばよかったです。自分からの視点からは気づかない疑問や感想も聞きたいからなあ。

f:id:chromista:20201023001717j:plain

誰かとこればよかった

 

1階ロビーの100年史と2階ホールでのビデオ


ヤマトグループさんは今年で創業100年。開業から現在まで、その歴史が当時の写真、CM等のパネルを交えながら展示されています。こちらを一通り解説していただき、2階へ。廊下には新聞広告のパネルもありました。
ホールで見学上の注意の説明後、会社についてのビデオを観覧。
たまに「ズズン」と揺れがきて驚きますが、これは配送トラックが通る際の振動とのこと。

  • 社のマークはクロネコ親子ではなく桜にYの文字。クロネコ親子は提携先のアメリカの会社のマークが元、デザインされた方のお子さんの絵が最終的なモチーフ
  • ・様々な人々からの提案や要望に応え、スキー装備のスキー場受け取りができる「スキー宅急便」や、より小さな荷物を送れるようにするなど、サービスが拡大。
  • (試験勉強のノートの貸し借りを宅急便で、というのが時代を感じます、今はデジタル写真が一瞬で送られてくる世の中ですが、なんだか羨ましい)
  • 「宅急便」はヤマトの商標で、一般的には「宅配便」。
  • 海外進出も果たし、「TA-Q-BIN(タッキュウビン)」という単語も現地で利用されているそうです。

いよいよ仕分けエリアへ

  • 廊下に「大型トラック(スーパーフルトレーラ25)」の全長についての展示があります。なんと25メートル、大量の荷物を積載して一気に目的地まで運送することができるようになりました。運転するときは緊張するだろうなあ……。
  • 見学者は仕分けエリアの上にある「見学者コリドー」というガラス張り廊下から、無人の空間に張り巡らされたベルトコンベア上を整然と流れていく荷物を見ることになります(ここで見るものは規定サイズ内の荷物。大型の物やクール便等は別ルートとのこと)。
  • 奥ではスキャン装置が赤い光を放っており、メインのベルトコンベア上に載った荷物は決められた場所に差し掛かるとスッと脇へ逸れていきます。時折聞こえるアラーム音?も相まってSFチックな光景に目が釘付け!カッコいい!!

 

ここで浮かぶのが
「荷物をこんなに高速で動かして大丈夫か?」
「トラブル発生時や定期の保守点検はどうしているんだろう?」
という疑問ですが、モニタを使っての説明によりこのベルトコンベア群がタダモノではないことが判明。

スキャン装置で読み取った荷物情報とコンピュータシステム、特殊なベルトコンベアシステムの組み合わせにより、高速かつ荷物にかかるダメージは最小限に抑えて仕分けを行うことができるようです。
また、トラブル対処や修理もしやすいように機械自体に工夫がなされています(詳細は伏せるので実際に見て驚いてください)。
こういった工夫のカタマリが24時間の稼働を可能にしているのですね。

 

通路の反対側には「スパイラルコンベア」という別のベルトコンベアも。上の階では送られてきた機械の修理、医療器具の洗浄等のサービスを行う施設があり、それらが梱包されて再び配送されていくそうです。その他パソコン設定や冊子印刷などの業務もあります(※全てを関西ゲートウェイで行っているわけではないとのこと)。「付加価値」をつける、というそうです。配送の流れにその他の業務も組み込んで便利に、ということか…。

  • Q : フリマサイトの増加もあり個人で荷物を送ることも増えましたが、配送や仕分け上、困る荷物にはどんなものがありますか?
    「梱包が適切でない」もの。荷物の落下や破損の原因になるため。送るものに合った梱包材を用いて丁寧につめること(特に精密機器や壊れ物類)、様々な重量のものをひと箱に詰める際は重みの偏りがないようにすること。
  • Q : 配送へのコロナウイルス流行の影響はありましたか?
    荷物が増えた。通販が増えたことで、普段荷物が多くない時期であっても繁忙期と同程度の量が運び込まれた時期もあったそうです。

最後はホールへ戻って展示物の見学。ここも様々な仕掛けがあって、「見て触って」楽しむことができます。
配送車の点検修理の様子、より良い梱包材の研究、エコへの取り組み、リサイクル、お年寄りの見守りサービス、観光サービスや地域との連携など。いくつかは実際にお世話になったものもあるし、「デスストでも見た(した)ぞ!」というものもありました。

f:id:chromista:20201023002156j:plain

山の上に一人で住むエルダーさん。いつも元気にしているか気になります

f:id:chromista:20201023002300j:plain

補足:「DEATH STRANDING」における”リサイクル”
(1)使用済み、耐久性低下などで利用できなくなった装備や不要な物品が出た場合、(2)配送センターなど、リサイクル設備のある場所で「リサイクル」することで、それらを構成していた素材(6種類のうちのいずれか)に分解することができます。(3)素材はリサイクルした場所にストックされていきます。(この図では仮に「配送センター」としています)(4)溜まった素材を利用して新しい装備、配送用の車両の作成などができます。また、「資材」としてまとめて持ち出すことで道端のポスト、橋などの設備強化や修繕、拠点を繋ぐ国道建設に用いることができます。
(※素材はスタッフや住民からの提供分、道端に放置されたものの回収分もストックに含まれるため、リサイクル分のみで機材作成を全てまかなうわけではありません)

 

最後にまた珍しい体験をしつつお土産を頂き、見学はおしまい。あっという間の時間でした。
1つの物があるヒトとあるヒトの間を移動する、そのつながりの裏には数えられないほど多くの方や技術が関わっていること、思いもよらない部分で「配送」が人々の生活の基盤や安心感を支えていることを感じた良い体験となりました。

f:id:chromista:20201023003010j:plain

いつもありがとうございます。

丁寧に説明していただき、様々な質問に答えてくださった案内スタッフの方、大変お世話になりました。
また良い機会をくださったヤマトグループさん、コジマプロダクションさん、本当にありがとうございました。

f:id:chromista:20201023003040j:plain

お土産は何がもらえるか内緒!ステッカーもいただきました。

おしまい。